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VOL.185 [デーリィマン誌 2018年11月号]

さまざまな課題を解決に導くビタコーゲン!

(株)カミサホロファーム 北海道上川郡新得町字上佐幌西1線91番地

カミサホロファーム施設概観

北海道のほぼ真ん中に位置する北海道十勝管内の新得町。町の大半が高山地帯で、北部は2,000m級の山岳がそびえる森林地帯、南部の丘陵地帯にはそば畑が広がる。全国でも有数のそばの産地として有名だが、古くから酪農の盛んな場所としても知られている。今回は新得町上佐幌の㈱カミサホロファームを訪問した。

酪農場を運営・管理するのは、佐藤雄大(ゆうた)さん(28)と妻・エリカさん(28)で、長男・陽稀(はるき)くん(7)、長女・杏(あん)ちゃん(5)の4人で暮らしている。

5年半の酪農ヘルパーの経験を生かして就農

新得町の酪農家に生まれ、幼い頃から後継者を目指していた佐藤さん。中学卒業後に北海道帯広農業高校へ進学し、卒業後は酪農ヘルパーとして帯広市の川西・大正地区で2年半、十勝管内更別村で3年働いた後に地元に戻り、雄大さんの祖父と父が働くカミサホロファームで就農した。今年5月からは、雄大さんとエリカさんの2人だけで仕事を切り盛りしている。

就農当初は、慣れない機械操作に苦労した。「ヘルパーが動かす機械はほんの一部なので、就農して初めて操作する機械に悪戦苦闘した」と佐藤さん。しかし、乳牛の飼養管理については、「ヘルパー時代に多くの現場で飼養方法を見てきたので、その経験を生かし自分なりのやり方を見つけることができた」と当時を振り返る。

現在、乳牛総数80頭(うち経産牛65)をつなぎ飼いし、飼料は全て町内のTMRセンターから調達する。直近の年間総出荷乳量は600t、乳脂率3.70%、乳タンパク質率3.23%で育成牛は町内の育成牧場に預けている。

牛床の環境改善にビタコーゲンの使用を検討
左から㈱セイワ尾崎伸一さん、佐藤さん、北海道オリオン㈱春木耕平さん

ビタコーゲンによる消化性テストを実施

佐藤さんにとって、粗飼料の質のバラつきによる食い込み不足が悩みの種だった。もともと添加剤に興味があり、その対応策としてさまざまな製品を使ったが、効果を実感できずに試しては止めるを繰り返えした。「添加剤は食べてもらうのに苦労する。飼料に混ぜても食い込みそのものが足りなければ効果は期待できない」。ビタコーゲンと出会ったのは1年前で、飛び込みで訪れた㈱セイワの営業担当者の薦めでビタコーゲンを試したところ、食い込み量の増加をすぐに実感し、本格的に導入することにした。佐藤さんが特に驚いたのは、乳牛がビタコーゲンを単味でよく食べること。普段はTMRにビタコーゲンを混ぜて給与しているが、食い込みが足りていないと感じたときはそのまま直に与える。「単味で食べてくれる添加剤は本当に少ない。ビタコーゲンは飼料に混ぜなくても好んで食べてくれるので本当に助かる」。食い込み不足解消に伴い、1頭当たり29〜38kg/日と変動の激しかった平均乳量が34kgで推移するなど乳量も安定。乳牛のコンディションも明らかに良くなり、カビが増える夏場に多く見られた下痢を発症する乳牛が、今年は1頭もいなかった。また、育成牧場の預託前の子牛には哺育用ビタコーゲンを与えており、「軟便の症状が出ても体力が落ちなくなった。子牛にこそビタコーゲンの効果は高い」と話す。

ビタコーゲンは自然界から採取した生きた有効微生物(酵母菌・細菌・糸状菌)を多く含んでおり、乳牛のルーメンバランスを改善する働きで、消化を促進させてトータル的な乳牛のコンディション維持が図られる。セイワは、このカミサホロファームでのビタコーゲン導入時期に、乳牛の消化性テストを実施した。給与前と給与後1カ月ごとに4回、糞の残さ物を調査。結果は給与前の糞の中に多く見られた穀類の残さ物が、給与後は激減。佐藤さんは「飼料が体の中で消化・吸収されているのを自分の目で確認できた」と、その効果を高く評価した。

牛床での使用を検討

佐藤さんは今後の目標について、「飼養技術を確立させて、乳質改善に力を入れていきたい」と話す。そのためには牛舎の環境改善が必要不可欠とし、ビタコーゲンを牛床材の一部として使用することを検討している。ビタコーゲンの有効微生物・醗酵生成物の効果により牛床の環境が改善されることで、乳房炎の予防につながると考えているからだ。この使用方法は既に豚舎など畜産の現場で取り入れられており、その効果も確認されている。

「乳質や繁殖を向上させることで利益を上げて、将来的には規模拡大も視野に入れたい」。目標達成に向けたさまざまな課題を解決に導いてくれるビタコーゲンに、大きな期待を寄せている。

  • 「ビタコーゲンは単味でも良く食べてくれる」と佐藤さん
  • 子牛には哺育用ビタコーゲンを給与