VOL.187 [デーリィマン誌 2019年11月号]
北海道上川管内北部にある士別市。中心市街地は名寄盆地の南部、天塩川と剣淵川の合流点付近にある。市の東部は北見山地に、西部の温根別地区は天塩山地に続く山地となっている。農業、林業、畜産業が主な産業であり、市の経済の中核を担っている。今回は士別市西士別の多田牧場を訪問した。
経営主は多田和宏さん(41)で、17年に新規就農。現在は妻・千鶴さん(41)、長女・絢美さん(17)、次女・有里さん(14)、三女・有輝さん(12)、長男・大輝くん(8)、そして父・光平さん(70)と母・美喜子さん(70)の8人で暮らしている。
光平さんはもともと上川郡東神楽町で、兄弟で酪農を営んでおり、和宏さんはその姿を見て小さい頃から酪農家になりたいと思っていた。北海道名寄農業高校に進み、そこで後継者を目指す多くの同級生と語り合ったことで見聞を広げ、本家から離れて自分で経営してみたいと新規就農を決心したという。
高校卒業後は酪農学園大学短期大学部へ進学、卒業して5年間、十勝管内の清水町でヘルパーとして経験を積んだ後、東神楽町で就農先を探したが、士別市にあるTMRセンターの当時の代表から誘いを受け17年に50頭の牛を買い、士別市で新規就農した。
就農当初は、毎日が必死だったという多田さん。「妻が2人目を産んですぐのタイミングだったし、知らない土地に新規就農してきて不安も大きかった。それも今となっては良い思い出だけど」と笑顔で振り返る。
現在の乳牛総飼養数は100頭(うち経産牛60)をつなぎ飼い飼養で、飼料は全てTMRセンターから調達する。直近の総出荷乳量は600t、年間固体乳量は1万800kg、乳脂率3.9%、乳タンパク質率3.2%、無脂固形分率は8.7%。育成牛は一部を除いて預託牧場に預けている。
多田さんが本格的にビタコーゲンを使い始めたのは今年の春から。それまでは、市の酪農組合連合会の取り組みで試験牧場として他社の製品のみを使用していたが、牛の健康増進のためにビタコーゲンも併用して与えてみようと導入したのがきっかけ。現在は1日150gを2回に分け、朝晩に給与している。「今年の夏は暑い日が多く夏バテも予想されていたが体調を崩す牛も少なく、例年より糞の締まりも良かった」と語る多田さん。臭いや堆肥の発酵についても「以前と比べて、より一層改善された。うちの牛との相性も良さそう」とビタコーゲンとの相性の良さを感じていた。
ビタコーゲンには自然界から採取された有効微生物(酵母菌、乳酸菌、枯草菌、糸状菌)の他、健康維持に必要な酵素群や有効成分が極めて利用しやすい形で、バランス良く含まれている。乳牛の体調維持と乳量アップを目指す多田さんにとってビタコーゲンとの相性はバッチリだ。また最近は試験的ではあるが、ビタコーゲンを給餌以外にもバーンクリーナーにまいているという多田さん。堆肥の発酵やにおいなどによる環境問題などの解消になればと期待を寄せている。
多田さんの今後の目標は、個体乳量1万1,000kgをキープできる牛群にすること。「TMRの構成員はだいたい20人。平均9,700〜9800kgぐらい搾っている。平均以上は絶対キープしたい」と語る多田さん。改良にも興味があり最近は輸入受精卵も取り入れ、長命連産の牛群づくりがしたいと展望を語る。「ビタコーゲンを使い始めてまだ1年はたっていないが牛の体調は良いし、やめる理由もない。これからも継続したい」と多田さん。健康で長命連産な牛づくりのためにもビタコーゲンとは長い付き合いになりそうだ。